うさぎのクラウン〜たれみみうさぎの おはなし〜

だい1わ「サボテンの タネを さがして」



おおきな おおきな、きのねっこ。
そのスキマに、たれみみうさぎの おやこが すんでいます。

おかあさん、おとうさん、それから 4わの こどもたち。
クラウンは、4きょうだいの いちばんしたの おんなのこ。

クラウンは、ブロークンオレンジの けがわを きています。

きょうも、みみに みずいろの はなかざりを つけて、おでかけを するみたいです。

きの ねっこから あたまを だして、あたりを みわたすと
ブルーの けがわを きた、おとこのこが いました。
みみが たっています。
ともだちの ジャムです。

「おはよう!」
「あ、おはよう」

ふりかえった ジャムの てには、うえきばちが あります。

「なにが はいっているの?」
「まだ なにも」

みてみると、なかみは からっぽです。

「サボテンを そだてようと おもってるんだ」
「いいね!」
「でも」

ジャムは かなしそうな かおを しました。

「タネが まだ みつからないんだ」
「どこに あるの?」
「さあ」

かわいそうな、ジャム。
クラウンは タネを さがしに いってみようと さそいました。

2わは、まず ジャムの おうちに やってきました。
なかには ジャムの おかあさんが います。
ジャムの おかあさんは、たまごを あたためながら マフラーを あんで いました。

「ジャムの おかあさん。それは なに?」

クラウンが たまごを ゆびさして たずねます。

「これは ジャムの いもうとや おとうとよ。
コウノウサギさんが、キャベツばたけから はこんできて くれたの」
「ジャム、おにいちゃんに なるんだね!」

そういうと、ジャムは てれながら みみを かきました。

「ジャムの おかあさん、サボテンの タネを しらない?」

さっそく、クラウンが きいてみると ジャムの おかあさんは くびを よこに ふります。

「うーん、しらないわねえ。
 でも、ニンジンばたけの おじさんは ものしりだから、きいてみたら どう?」
「ありがとう! いってみるね」

そして 2わは、ものしりな おじさんが いる ニンジンばたけに やってきました。

おじさんが ニンジンを しゅうかく していて、
1ぽんずつ ニンジンを くれました。

「おじさん! サボテンの タネ、しらない?」
「しらないなあ」

おじさんは、くびを よこに ふります。

ガッカリする クラウンと ジャムでしたが、おじさんは サボテンが はえている ところを おしえて くれました。

「かわの むこうに すなが たくさんある。
 サボテンは、すなが たくさんある ところに はえているよ」
「そうなの? おしえてくれて ありがとう!」
「ありがとう!」



2わは、おれいを いうと、かわを めざして あるきだしました。

けれど、かわは とおいです。

「クラウンちゃん、ボクが きみを のせて はしるよ」

みじかくて たっている みみの ジャムは、はしるのが とくいです。

クラウンが ジャムの せなかに のると、ジャムは ものすごい はやさで はしりはじめました。

「はやい はやい!」

とっても はやくて、クラウンは おおよろこびです。
ジャムも、ほめられて うれしそうです。

2わは、やまを こえて かわの まえへと やって きました。

かわの むこうには ひろい すなばが あります。
しかし、かわを こえる ための はしが こわれています。

かわを のぞいて みましたが、ふかくて ながれも はやくて およいで わたるのは むりそうです。

「どうしよう。せっかく ここまで きたのに」

ジャムが、なきだしそうに なりました。
それを みた クラウンは、ゆうきを だしました。

「ジャム、せなかに のって。 とんでみる!」
「でも」

クラウンは ながい たれた みみなので、とぶことが できます。
けど、まだ こどもなので じょうずに とぶことが できません。
たかいところが こわいのです。

「だいじょうぶ。ひとっとび だよ!」

クラウンは、ジャムを せなかに のせると、かわに むかって はしりだし ました。

「えーい!」

かわの てまえで ジャンプすると、みみを 大きく広げて かぜに のりました。

「わぁ!」

ジャムは、はじめて とんで ビックリしている ようです。

クラウンは、パタパタと みみを うごかして、そらを すすんで いきます。

そして ついに かわを わたりきり ました!

「やった! やったあ!」
「すごい! クラウンちゃん、とべた!」

2わが よろこんで ぴょんぴょこ はねまわって いると、ジャムが「あっ!」と、こえを あげました。

「どうしたの?」
「ほら、みて!」

ジャムが ゆびさした ほうを みると、なんと、うさミミの サボテンが たくさん たっています。

「こんにちは」「こんにちは」
「こんにちは。こんな ところまで よくきたね」

はなしかけて みると、サボテンは わっさわっさと ゆれながら はなして きました。

「ボク、サボテンを そだてたいんです」

ジャムが、からっぽの はちうえを みせました。

「ふむふむ。じゃあ、たねを わけて あげよう」
「ほんとうですか!」

サボテンは、かたから さげていた かばんから たねを、いくらか、わけて くれました。

「この すなも もって おゆき」

なんと、サボテンが そだつ ための すなまで くれました。

「ありがとうございました!」「ありがとうございました!」
「おれいを いえて えらいね。とげが あぶないから なでられない けど」

サボテンは わさわさと てを ふって、みおくって くれました。

クラウンと ジャムは、たねを おとさないように ゆっくりと かえって いきました。



かえるのが おそくなって、2わは おこられましたが ちっとも きになりません でした。

「どんな サボテンが はえるか たのしみだね!」
「うん!」

つぎのひ クラウンとジャムは、サボテンの たねを うえた はちうえを、いつまでも ながめて いました。



おしまい。

			

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